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予防歯科を強化

予防の要はプラークコントロール

最近、日本でもよく耳にする「予防」。
実は約30年前まで歯科医療の世界には「予防」という考え方はありませんでした。それが一変したのは1970年代のスウェーデンから。大規模な予防プログラムの導入により、国民の歯の健康状態が飛躍的に向上したのです。

「年をとれば歯を失っても仕方ない」と考える人が今でも多い日本。
歯科先進国として世界をリードするスウェーデンでも、30年ほど前までは同じでした。ところが今、日本では80歳で残っている自分の歯は約8本、スウェーデンでは15~20本。また、スウェーデンの人は口腔ケアの意識が高いため、電動ハブラシの世帯普及率も、日本よりはるかに高い50%とも言われています。さて、この違いはどこにあるのでしょうか。

世界で初めて予防の重要性を打ち出したのが、スウェーデンのイエテボリ大学。1960年代から長期に渡る膨大な調査が行われ、対症療法が中心だった歯科治療を根本からくつがえしました。
多くの調査を指揮したヤン・リンデ教授に師事した岡本浩先生によると、「その一番の意義は、むし歯や歯周病などあらゆる口腔疾患に最も有効なのは、プラークコントロール(歯垢除去)だと証明したことです。」

  • プラークコントロール
  • プラークコントロール
  • プラークコントロール
  • プラークコントロール
それらの調査の1つで、子供たちを100人ずつ2グループに分け、1971年からの4年間、歯垢の付着や歯肉炎、むし歯の発症状況を追跡。2週間に1度、プロによるクリーニングやブラッシング指導を受けたAグループと、一般的なケアだけのBグループとを比べた結果、すべての点でAグループが圧倒的に良い状態を示しました。4年間にできた100人中のむし歯う蝕歯面数(むし歯になっている箇所の数)は、Aグループで61カ所。Bグループでは941カ所とその差は15倍以上にも。

さらに成人の研究では、歯周病手術後にメインテナンス(定期的に歯周状態をチェックし、適切なクリーニングとプラークコントロール指導を行う)をしっかり受けたAグループとメインテナンスを受けないBグループの経過を比較。Aグループは良好な状態を維持できたのに対し、Bグループの多くの人は2年後には深刻な歯肉炎、歯周病が再発してしまいました

当時は歯周病自体もまだ解明されていない頃でしたが、特に外科的治療を受けた後は念入りにプラークコントロールしなければ、治療前よりも歯周状態が悪化することがはっきりしたのです。先生いわく、「一度治療して『何かあればまた来てください』では、また患者さんを危険にさらしてしまうんですね。メインテナンスを続けて再発や新たな病気を予防しなければ、本当の治療といえない。スウェーデンでは患者さんにその重要性を教えることも、歯科医院の大切な役割なんですよ」。

スウェーデンのこどもは歯医者さんが怖くない!?

最近、日本でもよく耳にする「予防」。

イエテボリ大学の研究を真摯に受けとめたスウェーデンの歯科医師たちは、いち早く政府に働きかけて予防システムづくりに動きました。

まず76年に歯科衛生士業務を見直し、治療の助手ではなく、患者の口腔ケアを責任を持って指導する、歯周治療と予防のエキスパートであると位置付けたことです。歯科衛生士の主な職場は歯科医院と地域ごとに設けられた「歯科保健所」。これは”すべての国民に平等に予防と治療機会を”という目的で設立された公立の医療サービス機関で、すべての住民が定期的にプラークコントロールケアと指導および治療も受けることができます。

20歳未満ならチェックアップも歯科医院での治療も無料なので、人々はこどもの時から歯の健診を生活習慣として定着させられるのです。「両親への出産前指導から始まり、乳児でも歯が生え始める頃からチェックアップの義務があります。治療ではないので、こどもにとってそこは気持ちがよくなる、楽しいことを教えてくれる場所。だからスウェーデンでは歯医者が怖いという感覚はないんですよ」と先生。しかも個人の状態に応じてケアやクリーニングの方法、通う頻度も異なり、疾患のある人には専用のプログラムが組まれます。

「この部分はフロスよりも歯間ブラシが適している、など自分では判断つかないですよね。道具の選び方もきめ細かく指導されるので、当然健康レベルは上がります。チェックアップに通う人に比べて、通わない人が疾患にかかる確立は約6倍といわれています」。

またスウェーデンの歯科治療は、科学的根拠を重視することから、一度治療をしたら二度と悪化させないことが常識。それには綿密なメインテナンスが必要です。このような考え方にもとづく20年、30年の継続の結果を示す例として、3歳児むし歯率が、1979年の80%から6年後には4%へ減少するなど、大きな成果を上げています。

見えない、届かない部分はプロに任せることも必要です。

最近、日本でもよく耳にする「予防」。

予防教育の徹底ぶりを考えると毎日の歯みがきもさぞ熱心では?と思いますが、1日の歯みがき回数を比べると、スウェーデンより日本の方が多いのだそう。先生がおっしゃるには「歯みがきは必要ですが、自分のケアを時々プロの目で診てもらうことも大切です」。セルフケアだけでなく、定期的にチェックに通うことも大切です、というのがスウェーデンの考え方なのです。

最近日本では毎食後の歯みがきを欠かさない人も増えていますが、行き過ぎたケアは禁物!と先生は注意されます。まちがった方法でゴシゴシみがき続けることで、知覚過敏になったり歯肉を傷つけてしまう恐れもあるそう。「よかれと思ってしていることが新たな病気をつくることもあるので、そういうチェックのためにも歯科医院を利用してほしいですね」ということです。

スウェーデンの例からわかるのは、歯科医院は決して「歯が痛くなってから行くところ」ではないこと。「治療が終われば通院は終わり」から「治療が終わった時から、歯科医院との本当のおつきあいが始まる」という意識に変えることが、健康な歯を守る第一歩だといえそうです。

PMTCと口腔内除菌療法

PMTC何度治療しても、むし歯や歯周病が再発してしまう方や、お子様をむし歯から守りたいとお考えのお母様方には、PMTCと口腔内除菌療法が効果的です。
PMTCとは、歯科衛生士による定期的なクリーニング(Professional Mechanical Tooth Cleaning:PMTC)と、患者さんの歯磨きなどによるホームケアにより、細菌を除去あるいはできるだけ少なくして,むし歯や歯周病が再発しない口腔衛生状態にするのが、“治療”と考え直されています。
実際、北欧では約20年前にむし歯、歯周病の予防プログラムがシステム化され、その効果が実証されています。
当院では、「なぜむし歯や歯周病になってしまったのか」考えていただき、いつまでも健康な歯や口腔の機能を維持していく支援(ヘルスプロモーション)を展開していきたいと考えています。

PMTCむし歯になって痛い思いをするより、定期的なクリーニングで気持ちよく、快適な予防治療をおすすめします。